蕎麦の美味しさを決めるのは、麺の良し悪しだけではありません。その個性を引き立て、最後の一滴まで堪能していただくための「つゆ」こそが、蕎麦屋の命とも言える存在です。樹庵のつゆは、一九七八年の創業当時から受け継いできた伝統を守りつつも、時代の変化やお客様の好みに寄り添い、今なお進化を続けています。
私たちのつゆの土台となるのは、厳選されたカツオから贅沢に抽出したダシです。カツオの風味を最大限に引き出すために、温度管理や煮出しのタイミングには細心の注意を払っています。立ち上る香りは食欲をそそり、一口含めば芳醇な旨味が口いっぱいに広がります。この力強いダシに合わせるのが、愛知の食文化には欠かせない「たまり醤油」です。
たまり醤油特有の深いコクと、熟成されたまろやかな甘み。これらがカツオのダシと合わさることで、樹庵ならではの濃厚でありながらも角のない、円熟した味わいのつゆが完成します。幅広い世代のお客様に「美味しい」と言っていただけるよう、甘みと塩味の絶妙なバランスを追求し続けてきました。
このつゆは、二八蕎麦の香りを打ち消すことなく、むしろその甘みを引き立てる名脇役となります。温かい蕎麦ではダシの香りがより豊かに広がり、冷たい蕎麦ではキリッとした醤油の輪郭が麺の喉ごしを際立たせます。手打ち蕎麦とともに、器の中に凝縮された樹庵の歴史とこだわりを、ぜひ心ゆくまで味わってみてください。
